長居は無用? 3泊でさらりと通り過ぎたデンマークとスウェーデン

北欧は物価が高いこともあり、滞在期間を短くして一気にデンマークを駆け抜けつつ、スウェーデンにも少し立ち寄ることにした。そこで、デンマーク北部の港町、ヒアツハルスに着いてからは電車とバスで一気に南下、続いて東進し、その日のうちに国境を越えてスウェーデンのマルメに宿を構えて3日間滞在、うち1日はデンマークの首都コペンハーゲンを日帰り探訪するという日程を組んだ。

国境を挟んで2つの都市のカラーはかなり違っていて、コペンハーゲンはひたすら自転車が多く物価が高いけれども洗練された街、一方のマルメはスウェーデン第3の都市といいながらも活気がなく、移民が多く雑然とした街という印象だった。

北欧の物価がなぜこんなに高いのかは散々語られてきていると思うが、高負担高福祉の政策に伴って高い税金が課せられていることが大きな要因で、我々チームシマのような旅行者にとってはメリットが薄い。しかも、付加価値税(VAT)の高さが物価に跳ね返っているように感じられる。VATは世界で最も高いのがハンガリーの27%で、その次にデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの25%が続く。

ハンガリー、スウェーデン、ノルウェーは食料品などに軽減税率が適用されているのに対して、デンマークでは軽減税率を一切設けておらず、何を買っても高税率になるのが特徴だ。実際にコペンハーゲンでの買い物は、これまでに訪れたどの国よりも高いという印象だった。これでは、例え治安がいいにしても、人が親切だとしても、北欧の国々は旅行者には優しくないと感じてしまってもおかしくないだろう。

さて、そんなデンマークまでフェリーで向かう。朝、起きて甲板に出ると船員がちょうどデンマーク国旗を掲揚していて、厳かな雰囲気に感動してしまった。

水平線から昇ってくる朝日も見られた。

ヒアツハルスのフェリーターミナルに到着。デンマーク北部の中心都市アールボーまではこの日、バスが出ておらず、鉄道で向かうことにしていた。鉄道駅まで行く路線バスに乗ろうと思ったものの、団体客用のバスしか見当たらなかったため、やむなく歩いていくことに。

鉄道駅に着き、しばらく待って電車が到着。ここがデンマークの北の果ての駅というわけではなく、時計のブランド名として日本でも知られているスカーゲン(またはスカーイェン、Skagen)に最果ての駅があるようだ。そういうわけで、ヒアツハルス駅は日本でいえば網走駅といったところか。この頃には雨が降ったりやんだりしていた。

とにかくこの日は移動、ということで先を急いだ。電車を乗り継いで到着したオールボーの街並み。ここから、しばらくぶりの「フリックスバス」(FlixBus)に乗り、一気に首都コペンハーゲンに向かった。

6時間近くの道のりの間、いくつかの大橋を通って島を渡っていった。

コペンハーゲン市内に入ると、とにかく目に付いたのは自転車に乗っている人の多さ。さすがは自転車王国だけある。市民の6割以上が日常的に自転車を利用しているという。

コペンハーゲンからさらにスウェーデン・マルメ行きのバスに乗り換えて、また大きな橋を渡り国境を越えてマルメに到着。

バスターミナルに隣接している鉄道駅はモダンなターミナル駅っぽくていい味を出していた。時計の時刻は19時15分と、デンマークに入国してからの移動だけで12時間近くが経っていた。

路線バスに乗って、エアビーアンドビーで予約した宿へ。周囲はアラブ系やアフリカ系の移民が多く住んでいるエリアのようで、部屋の貸主も登録上は白人女性だったものの、実際に住んでいたのはアフリカ出身の黒人男性で驚いた。規約上はアウトなんじゃないか、と思ったりもしたが、よく調べていないので分からないまま。ひとまず、近くのスーパーのリドル(Lidl)で買い出しをして晩ご飯。一息ついて長かったこの日の移動をかみしめた。

翌朝はたまっていた洗濯物を一通り洗っている間に僕1人で散歩。まず、落書きだらけのトラックを見かけた。近所は何となく治安のよくなさそうな雰囲気が漂っていて、夜はあまり出歩きたくないと思った。

さびれた商店街。様々な言語で「バザー」と書いてあったが、日本語は所々はげていて「バリ」に見えなくもなかった。

道路に障害物を置いて車などのスピードを落とさせる仕組みの道路。手作り感が強かった。

「Mio」という名のショッピングセンター。思わず、大阪・天王寺にある同名の駅ビルを思いだした。

昼ご飯を挟んで、今度はチームシマの2人でお出かけ。宿の近くにあった毛糸屋をチェック。

この半円形の建物は鉄道駅の出入口。この辺りは地下線になっていて、マルメ中央駅同様にモダンなつくり。

この日のメインイベントはイケア(IKEA)での買い物と食事。バスで郊外のイケアに行った。またも見つけたライオングッズと一緒に写りこんだ。この日の目的は、ヨーロッパで散々探してきた衣類圧縮袋をどうにかすること。結局、欲しかったタイプの商品は手に入らず、代わりに布団圧縮袋を購入。イケアはスウェーデン発祥とあってか、他国と比べてかなり安かったので2つ買ったのだが、そのうち1つはマルメに置き忘れてしまった。思っていた以上に使い勝手がよく丈夫で、後々まで重宝することになったのでもったいなかった。

イケアの食堂で。ホットドッグにアイスクリームはすっかり定番に。

宿に帰ってくると、前日の夜からこの日の昼まで不在だった宿主の男性が帰ってきていて、チームシマの洗濯、乾燥の仕方がなっていない、とすごい剣幕で怒られた。やり方は前日にあらかじめ聞いていたのだが、想定以上に乾燥機で洗濯物が乾かず、室内干しをしていた。もともと、別人をエアビーの宿主に立ててきたり、天井のライトが緑色で暗かったり、宿主は毎夜、日が暮れてから出かけて昼はいるのかいないのかよく分からない生活をしていて不審だったりと、宿主の男性への印象があまりよくなく、この1件で決定的になってしまった。

翌日は、それでもめげずにコペンハーゲンまで日帰り旅。マルメで24時間有効の往復券を買うと、コペンハーゲンの中心部の公共交通まで使えるというのでそれにした。切符自体はレシートのようなものが出てきた。

最初に方向を間違えて乗って時間を食ってしまったものの、コペンハーゲン中央駅に到着。デンマークやスウェーデンに来ると、車両にまで派手なペイントの落書きが施されている車両をよく見かけた。ヨーロッパのこの辺りでは放置しておくスタンスなのだろうか。

まず向かったのは、市街にある観光地からは外れたパン屋のアンデルセン。広島のタカキベーカリーが手がけているという。屋号はデンマークの著名な童話作家、アンデルセンにちなんでつけられていたようだ。

デンマークでパンといえばデニッシュ、ということで何種類か注文。チームシマのマスコット、ロバ太郎も納得の味。

観光スポットが多いエリアにバスで戻ることに。バス待ちの間に見かけたのは、やはり自転車集団だった。この密度の高さ、東京でもなかなか見ない。

観光エリアに行き、僕とゆっきーでしばらく分かれて単独行動。僕は観光名所のラウンドタワーに。そのすぐ近くの通り。レンガ造りの建物に重厚感があった。

タワーの中に入ると、らせん状の坂道が印象的だった。

屋上からの眺め。地上から見たレンガ造りの建物も見えた。

角度を変えて。ザ・ヨーロッパという感じの街並み。欄干がおしゃれだった。

一方のゆっきーは毛糸屋めぐり。こんな店とか。

こんな店にも。

合流してからギネス世界記録博物館に足を運んだ。世界一の巨人のレプリカ像とツーショット。

そこからさらに別の毛糸屋へ。

街を歩いていると、こんな寿司店の広告も目にした。秋葉原と寿司のコラボレーションか。意外と日本にはなさそう。ネーミングセンスがいい。ただ、物価の高さは想像以上で、市場で見かけた名物のオープンサンドは、手のひらサイズにも満たない大きさで安くとも52デンマーククローネ(約900円)、サーモンを載せたものだと99クローネ(約1720円)もした。これでは滞在する気も失せてきそうだと思った。

上空から見ると星形であろうカステレット要塞やその近くの人魚姫像も訪れた。

最後にニューハウンへ。何となくロシアのサンクトペテルブルグを思い出させる街の姿で、カラフルな建物群を見られて満足。

マルメの駅に戻ってくると20時過ぎになっていた。

コペンハーゲンはデザイン性に優れた街で、自転車が車並みに幅を利かせていた。マルメは移民が多く、スーパーの前などで物乞いをする人もちらほらいて、北欧の雰囲気は中央駅周辺くらいしかなかったように思う。滞在先にコペンハーゲンではなくマルメを選んだのは、単にスウェーデンに足を踏み入れられるからというだけではなく、コペンハーゲンのホテル事情が悪かったためだった。これまでに訪れたどの街よりも宿泊費が高く、割高の個室に泊まるくらいならマルメの方がいいという判断だったが、それ自体は正しかったように思う。

翌日、出発の朝。過ごしにくい思いをしたこの宿ともお別れ。

最寄りの地下駅から電車に乗ろうとすると、ホームまで自転車で降りてきている人がいて、さすがと思わされた。

コペンハーゲン中央駅に到着。ここから列車を乗り換えてドイツのハンブルクに向かうことになっていた。今回、あえて鉄道での移動にしたのはこだわりがあったからで、乗るのを楽しみにしていた。