イギリス その1 ロンドン・想像の上をいくイギリスらしさと平凡さ

パリをバスで発って次に向かうのはイギリス・ロンドン。ただし、今回は1泊したあと、5泊6日でアイスランドに向けて出発することにしていて、ロンドンを見て回るのは10月に入ってからの予定だった。

ロンドン行きのバスは割とすぐに見つかり、最前列に乗り込んでパリ・ベルシーのバスターミナルを9時に出発。セーヌ川の対岸には、パリに似つかわしくない気もする現代的な建物群が広がっていた。その後、バスは順調に北へ進んだ。

どのようなルートを通ってイギリスに向かうのか、確認していなかったが、どうやらカレーからフェリーに乗ってドーバー海峡を越えるようだ。

だだっ広いカレーのフェリーターミナル。12時40分ごろに到着した。イギリスはシェンゲン協定に加盟していないため国境審査があり、乗客1人の審査が長引いて、フェリーが出港すると15時20分になってしまっていた。あっさりだったフランスの出国審査に対し、イギリス入国は何泊するのかとか、そのあとどこに行くのかとか、イギリスを出国する際のチケットはあるのかなど色々と聞かれた。イギリスの入国審査は厳しい、とはネットで調べて知っていたものの、うわさ通りだったように思う。

待機中のバス車内で。頭から胸にかけて巻いているのは、ゆっきーがオランダ・アムステルダムで買った毛糸で編んでくれたもの。このあとアイスランドで、この編み物をめぐってチームシマを悲劇が襲う!

カレー港を発ち、客室に移動してしばらくくつろいでいた。

イギリスの陸地が見えてきた。

と、息をのむような白い海岸線が!これこそ「ドーバーの白い崖」と呼ばれるものだったが、見るまでまったく意識しておらず、ただ目を奪われるばかり。

ドーバーの港が見えてきた。とにかく崖にくぎ付け。

陸に上がって再びバスで移動。崖の下層に沿うように建物がびっしりと建てられていた。

長旅の末にようやくロンドンへ。イングリッシュガーデンが有名なお国柄だけあって、素敵な庭付き一軒家が立ち並ぶ郊外の住宅街を通り、にわかにテンションが上がった。ヨーロッパ大陸では感じられなかった味わいだった。しかし、もう夕方で暗くなりかけていて、写真にはその素晴らしさがなかなか反映できず。道路に目を向けると、自転車レーンも広々と取られていて、ロンドン名物の2階建てバスの姿も。

終点のヴィクトリア・コーチ・ステーションに着くと、すでに18時30分に。フランスとは1時間の時差があり、10時間以上の長旅になった。あたりは急速に暗くなっていた。ここから、宿泊先のルートンに向かうバス乗り場を探すのに手間取り、出発すると19時30分になっていた。

おなかがすいていて、ヴィクトリア・コーチ・ステーションで買っていたサンドウィッチを車内で食べた。バスから見た夜のロンドンの街並みも素敵で、中学生のころ見たPet Shop Boysの「So Hard」のプロモーションビデオを現代版に置き換えたようなシーンを頭の中で思い浮かべた。相変わらず、写真に撮りたくても暗くてブレブレになってしまったのが残念。

そうはいっても、工事中の交差点の信号やバリケードがあまりにちゃちだったのは、イギリスのお国柄なのだろうか。どちらにしても、またこの足で散策してみたいと思った。

ロンドンから1時間30分近く離れたルートンの街に着き、どこかで夕食を食べる気力もなく、坂道を歩いて宿に向かった。

この地に宿泊先を求めたのは、翌日、フライトを予定しているロンドン・ルートン空港まで目と鼻の先だからだった。ネットで予約していた「ルートン・ホテル・レジデンス」に無事チェックイン。客室は多少、くたびれた感じはあったものの、調理器具やコンロまであり、中長期滞在に向いてそう。途中で買っていたスナック菓子にサングリアで晩ご飯として、くたくたになった体を早めに休めた。

翌日、アイスランドへの出発準備をして、持っていかないものを詰めたバックパックをフロントに預けて出発。快晴だった。歩いて向かったルートン駅付近は、大型のショッピングモールなどがあり、どことなく既視感があった。首都圏で例えるなら多摩センター駅周辺、特に「パルテノン大通り」を彷彿させるような雰囲気だろうか。いや、ここはギリシャではなくてイギリスなんですけれども。

中に入ると、メリーゴーランドが。ごく小規模だけど、ショッピングモールの屋内ですよここは。

モールの中に入っているフードコートへ。マレーシア料理店やパキスタン料理店など、イギリスのロンドン近郊とは思えないジャンルばかり集まっているのが目についた。

その中のタイ料理店に入って僕は焼きそば、ゆっきーはパッタイを注文。パリでは失敗だったパッタイだが、ここでは両方ともかなりおいしかった。また寄りたいと思った。

駅の乗り場からバスに乗ってルートン空港へ。LCCが多く就航していて、チームシマはハンガリーからノルウェーに移動する際にも使った「Wizz Air」(ウィズ・エアー)に乗ってアイスランドに向かおうとしていた。

空港内はどことなく成田空港第3ターミナルか関西空港第2ターミナルを思わせるチープさが漂っていたが、売店ではイギリスを代表する車のひとつ「ミニ」をモチーフにした免税店のコーナーも。先のショッピングモールといい、平凡かと思いきや、イギリス、なかなか侮れない。しゃれてるぅ!

搭乗前。ピンクと青のWizz Airの機体が見えた。アイスランドでは全行程をレンタカーで回ることにしていて、久しぶりの外国での車の運転を控えて、私はひとり、緊張感が高まっていた。