アイルランド その1 ダブリンで小休止…することもなく長距離ドライブ

アイスランドを発つ少し前、レンタカーを返す際に高額の修理費を請求され、これまでの旅の中で最大のピンチに陥りながらも、何とか切り抜けてロンドン・ルートン空港へと戻ってきたチームシマの2人。しかし、落ち着く間もなく次の旅立ちを控えていた。次の目的地はイギリスの隣国、アイルランド。アイスランドとはカタカタで1文字違い、僕たちが旅する順番も1つ違いだが、国情は大きく異なっていた。

アイルランドと聞いてまず思い浮かべるのは、イギリスとの複雑な関係だ。日本やイギリス、先に訪れたアイスランドと同じ島国とはいいながら、イギリスによる支配を長いこと受けてきた歴史があり、アイルランド島の一部、北アイルランドは今もイギリス領となっている。北アイルランドは、第二次世界大戦後、主にIRA(アイルランド共和軍)によって紛争の舞台となってきた。その紛争も21世紀になると落ち着いたものの、近年はイギリスのEU離脱に伴い、以前とは違った視点で北アイルランドが再び注目されている。その話はまた順を追って。チームシマは、島をぐるっと回る途中で北アイルランドを少し訪れる予定にしていた。

今回は、イギリス出国からアイルランド入国、そして南部の町、ホワイトゲートまでの道中を紹介。

ルートン空港に着き、入国審査も終えてホッとしつつもまだアイスランドでの興奮を引きずっていたチームシマ。バックパックなどの大きな荷物を預けていた「ルートン・ホテル・レジデンス」に歩いて向かった。

僕は2人分の荷物を抱えて歩きつつ、スマホを操作。一見、器用な技だが、外国ではスキを見せることにもなって危険が増してしまう。でも、このときは周りに誰もいる気配がなく、油断していた。そして事件は……起こらなかった。歩きスマホはやめましょう。

無事に宿へ着き、翌朝、出発前に部屋の様子を撮影。前回と同じく部屋にキッチンがあった。

ベッドはこんな様子。今回もアイスランドへの旅と同じく、宿にバックパックを預けてボストンバッグで出かけて、再び戻ってくることにしていた。

宿をチェックアウトして、街の中心部にあるショッピングモールへ。「ビーバーブルックス」という名の宝石店に目がいき、ビーバーのぬいぐるみ、ごんばはじめの仲間か、と一瞬だけ思ったが、この店はビーバーとは何の関係もないらしい。

アイスランドを訪れる前に行ったタイ料理店を再び訪れたものの、このときは開いていなかったので、安い価格帯で勝負していて結構にぎわっていたハンバーガーショップへ。味は安いなりだった。路線バスでルートン空港へと向かった。

アイルランドの往復に使ったのはライアンエアー。この航空会社がヨーロッパで最も名の知れたLCC(ローコストキャリア、格安航空会社)なのは、旅行好きなら言わずとも知れたことだが、荷物の重量・サイズの制限が厳しいとか、スタッフの対応が最悪とか、オンラインチェックインを忘れて空港でチェックンすると数十ユーロとられるとか、とにかくいい噂を聞かず、チームシマも戦々恐々としていた。

ところが、実際に使ってみると、拍子抜けするほどすんなりと搭乗できた。前日のレンタカーの件で悪運をすべて費やしたかのように、穏やかに出発!

アイルランドのダブリン空港が近づいてきたときに窓から見えた景色。陸地にゴルフクラブが点在していて、まるで成田空港近郊のよう。これは島国の国民性なのだろうか、とふと思ったりした。

空港に着いて入国審査。アイルランドはイギリスと同じく入国審査が厳しく、滞在目的、滞在期間、知り合いの有無、出国後の予定など、いろんなことを聞かれた。それも無事に終えて入国し、受託荷物の受け取り所に向かうところでは、鏡張りのようにも見えるガラス張りの動く歩道があり、ちょっと珍しかった。

アイルランドでの移動は、アイスランドに引き続いてレンタカー。今回は、最初と最後に煮え湯を飲まされたアイスランドのときとは違うレンタカー会社で、Paylessという会社を選んだ。Paylessは日本では聞かないが、アメリカを中心にヨーロッパやアフリカにも広がっている。アイスランドの会社とは違って新たに保険契約を結ばされることもなく、安心できそうだった。

今回の車種は、スペイン・セアト社のイビサでマニュアル車。ハンドルの「S」がこの会社の車のエンブレムだが、これまた日本では、なじみがない。

宿泊先がある街ホワイトゲートは、アイルランド南部のケルト海に面した地方にあり、同国東部のダブリン空港からは約280キロ、高速道路を使っても優に3時間はかかる。この日、ダブリンに着いた時点で夕方だったこともあり、宿泊先に向けて急いだ。

空港から約15キロのショッピングセンターに寄って、水や携帯電話のSIMカードを調達。それにしても、バカでかいポテトチップスの袋に圧倒された。12袋入りで、大きな枕のよう。日本ならケースで売っているレベルのようにも感じるが、1つ1つの小袋は30グラムあるかないかで、かなり小さいようだ。

こちらはさらにビッグな22袋入り。枕どころではないサイズ感。と、飲食品類を一通り見てから、ホワイトゲートに直行した。

アイスランドやアイルランドは、8月にハンガリーのブタペストに1週間ほど滞在中、余力があったときに妻のゆっきーが中心となって組んだ日程だったからか、恐ろしいほどの強行軍で、実際にやる段になると、かなり厳しいと感じていた。

この先、観光地を中心にアイルランドのあちらこちらを訪ねていくことにしていたが、国が変わっても、1日の中休みもなく連日の長距離ドライブとなっていて、疲れがたまるのも無理はなかった。アイルランドは日本と同じ左側通行で、右ハンドル車が主流なのがまだ救いだった。

すぐに日が落ち、夜のドライブになったが、無事にホワイトゲートまで到着。ここの宿は、エアビーアンドビーで予約を受け付け始めたばかりで割引があり、安く泊まれた。事前に到着が遅くなることを連絡していて、ありがたいことにスープを用意してくれていた。何ともおいしくて、心遣いでさらにおいしさが増したように思う。

部屋の様子。居心地がよく、しかもバスルームが扉を隔てて隣にあったので、ホストを気にすることなく使うことができて、とても快適だった。ベッドの上の絵画はナゾだったが。

翌朝、ホワイトゲートの宿を出発する前に撮影。1泊だけだったが、自分たちの家のように感じられた。これだけ自然に囲まれていたら、住環境としては申し分ないだろう。新しい国に降り立ち、いい宿に泊まることで気分転換できて、このままドライブ旅行が続けられそうな気がしてきていた。