フランス その1 パリの名所を回り、お上りさん気分を満喫して北アフリカへ

チームシマの2人による世界旅行も、中国・北京でトランジットしてモンゴルに降り立ってから3か月弱でフランスまでやってきた。この間、訪れてきた国は22か国で、大半がお互いに初めての訪問だった。フランスは、ゆっきーにとっては何度か来たことがある馴染みのある国で、僕には1週間ほど前の長距離バスの乗り換えで小一時間いたことがあっただけで、実質的に初めての国だった。

チームシマはこの先、パリを何度か行ったり来たりする計画を立てていて、今回はパリ到着の2日後、北アフリカのチュニジアに飛行機で発ち、10日あまり過ごしてまたパリに帰ってくる予定にしていた。ゆっきーはかつてフランス語を習ったことがあり、今でも少し話すことができて、この先、フランスのみならず、チュニジアなどフランスが旧宗主国のアフリカ諸国でも幾度となく助けてもらうことになる。

ブリュッセルからフリックスバス(FlixBus)に乗り、シャルル・ド・ゴール空港に寄ってからパリの南東部、12区にあるベルシーのバスターミナルへ。混んでいたものの良い席が取れたので快適で、パリには定刻より少し早く着いた。公園内にあるターミナルからメトロの駅へ。

今回はメトロとRER(エル・ウー・エル、首都圏高速鉄道)を乗り継いでパリ郊外の都市シュシー=アン=ブリに向かった。予約した時にはパリ市内にあると思っていたホテルが、直前になって郊外にあると知り、チームシマの2人ともテンションが下がっていた。

最寄駅から歩いていくと、周辺はどこを見てもパリとは思えない風情。ゆっきーはこの頃になると、僕をおちょくって楽しんでいるようにみえた。

イビス(Ibis)系列のホテルにチェックイン。子連れ夫婦でも泊まれるよう2段ベッドになっていた。部屋は最低限の設備だったものの、ルクセンブルクの宿のような不潔さやブリュッセルの宿のような臭いもなく、それなりに過ごしやすそうだった。

ホテルの隣にあるスーパー、リドル(Lidl)でフランス産ワインなどを買い、ホテルとタイアップしていて割引があった近くのイタリア料理店で晩ご飯。店内はファミレスのような雰囲気だったものの、パスタ、リゾットともにおいしくて、さすがはフランスと思わせた。

ここから、僕1人で現金を降ろしにATMへ。宿から歩いていける距離にある街は小さくまとまっていた。

翌日はパリの市街地まで出かけることに。バスからRERへの乗り換え駅ではサンデーマーケットが開かれていて、大勢の人でにぎわっていた。

そこからパリ13区にあるベトナム料理店に直行。ゆっきーはブンチャーを、僕はフォー・ガーを食べた。かなり量が多く、お腹がいっぱいに。

辺りは中華街というよりはベトナム人街で、やたらとベトナム料理店が多く、行き交う人たちはアジア系が多かった。ただ、訪れた店はよく知られているのか、白人、黒人、アジア人とあらゆる人たちがいて国際色が豊かだったように思う。少し歩くと公共住宅のような大きめの建物が沢山あったのが、僕がイメージしていたパリとは違っていて印象的だった。

ここから凱旋門へ。やはりベルリンのブランデンブルク門とは大きさが違い、存在感があった。チームシマのチームメイトのロバ太郎と、ゆっきーとは長年の付き合いのビーバー、はじめも一緒に撮影。

下から門を仰ぎ見た様子。凱旋門からは放射状に12本もの道路が伸びていて、門を真ん中にしたラウンドアバウト(環状交差点)に車がひっきりなしに入ってきて、それがまた門の存在を際立たせていた。

一通り写真を撮ってからシャンゼリゼ通りを歩くと、気分はすでにお上りさん。ゆっきーは暑さとベトナム料理で気が上がってしまい、アイスコーヒーを求めていたが、意外にもパリの喫茶店にはほとんど置いていない。そこで、確実に飲めるスターバックスまで移動して休憩した。

続いて訪れたのは、エッフェル塔。僕が小学生のころ、日本テレビ系列で毎年秋に放送していた「アメリカ横断ウルトラクイズ」で、本来ならその名の通りアメリカを横断するのに、なぜかパリが決勝戦の舞台になった年があり、その時に映ったエッフェル塔を見て以来、僕にはパリの代表格としてエッフェル塔が浮かぶようになっていた。その地にとうとう足を踏み入れた。

エッフェル塔を望む土産物屋で見かけた、少し不気味な人形に寄り添うロバ太郎。

翌日はチュニジアに出発ということで、この日は早めに市街地から退散。パリ郊外のイケア(IKEA)まで買い物がてら晩ご飯を食べにいくと、近くのモールでこんな店を見かけた。出入口に「パン」と書いてあるものの、実は寿司屋というだまし討ちのような店だった。

帰りの空は神々しく光っていて、間近に迫ったチュニジア行きを祝ってくれているかのよう。

翌日、バックパックをイビスのホテルに置いて、チュニジアに向けて出発。前日に引き続いてイケアに行き、割と多めの昼食を取った。これだけ食べても前日のベトナム料理や前々日のイタリア料理の3分の2くらいの金額しかかからず、さすがのイケアはフランスでも健在。

今回はオルリー空港からLCCのトランサヴィア航空を利用。バスでオルリー空港まで向かった。途中、バス停で陽気な交通局員のおじさんたちに乗り換え場所の案内をしてもらい、親切心がありがたかった。おじさんたちは「早すぎだよ、30分前に着けば大丈夫だよ」と冗談めかして話していたが、実際に空港まで着くとギリギリに近いタイミング。空港の外での案内はフランス語、英語に加えて中国語が書いてあり、パリで世界的パワーバランスがどう見られているのか、つかめたように思う。

ゆっきーの毛糸関連の免税手続きを済ませ、搭乗手続きもトラブルなく終わり、搭乗口へ。

恐れていた手荷物チェックもなく飛行機に乗り込んで出発。空港付近を上空から眺めた。

しばらくすると、南フランスのコート・ダジュールが見えてきた。長らく旅してきたヨーロッパ、そしてユーラシア大陸ともしばらくお別れ。この頃には、久しぶりのアラブ世界を前に心が浮き立っていた。