ヨーロッパレンタカー旅の総ざらい

2018年8月から10月までの間に、ヨーロッパ4か国を2つの期間に分けてレンタカーで旅した。今回は、外国でレンタカーを運転して気づいたこと、メリットとデメリットなどを紹介する。

走行距離

今回、僕が運転した総距離は5,113キロ。合計で20日間運転したので、平均で1日当たり約250キロ。もちろん、レンタカーを借りたり返したりした日はたいてい、運転の時間も限られていたので、そうでない日はかなりの長距離を走ることも多かった。
国別の内訳はこちら!

ノルウェー
8月24~26日(3日間) 249キロ
アイスランド
9月26日~10月1日(6日間) 2,079キロ
アイルランド
10月2~6日(5日間) 1,420キロ
イギリス
10月7~12日(6日間) 1,365キロ

外国での移動手段としてのレンタカー

基本的に、日本でレンタカーを使うときとメリット、デメリットは同じと考えてよい。公共交通機関ではアクセスしにくい場所に行くとき、交通網が充実した都市部以外で効率よく、自分が行きたい場所に思うような時間に向かいたいとき、大人数や大荷物で移動するときなどには力を発揮する。

ただ、外国ならではの短所もある。まず、運転のしやすさの違いがある。日本は世界的にみてインフラ面の条件がとてもよいと思うし、外国に行くと、日本では考えられない悪路、交通マナーのひどさもよく目にする。僕は少なくとも一部を除く中東、アフリカで車を運転しようとは思わない。公共交通機関がなければ車をチャーターするか、タクシーを使うようにする。チュニジアでは実際にそうした。

費用面を比較すると、乗るのが1人や2人では、レンタカーはまず割に合わないだろう。費用については次の項目で解説する。

レンタカーにかかる費用

当たり前のことだが、レンタカー代は国によって全く異なっていて、レンタカー会社や車種によるところも大きい。
今回借りた4つの国のレンタカー代を比較すると、

ノルウェー > アイスランド = イギリス > アイルランド

となった。アイルランドでは1日当たりの料金が2,000円あまりで、日本でレンタカーを借りるよりもかなり安かった。ノルウェーではレンタル期間が短かったこともあり、1日当たり7,000円弱、実際には48時間のレンタルだったので、丸2日として計算すると10,000円以上かかった。

レンタカーの保険はレンタカー会社で入るより、ネットで加入した方が格段に安い。僕は「Rentalcover.com」というサイトで保険に入っていて、たいだいの国で1日1,000円もしなかったが、アイスランドだけはレンタカー会社で「その保険は適用できない」と言われ、5日間で24,000円あまりの保険に入った。いや、入らされた、という表現の方が正しい。

ガソリン代も当然、国によってかなり違う。訪れた4か国は日本よりもかなり高かった。アイスランドが1リットル245円くらいで最も高く、逆にイギリスとアイルランドでは、それぞれ1リットル190円ほどで、まだ安いほうだった。

車を運転する際のポイント

いま思い浮かぶだけで大まかに5つある。

1 右側通行か左側通行か
2 マニュアル車かオートマ車か
3 ラウンドアバウトへの進入と退出
4 交差点での右左折のルール
5 ヘッドライトの扱い

それぞれ解説しよう。

右側通行か左側通行か

ウィキペディアによると、日本と同じく左側通行なのは55か国・地域という。僕が運転した中では、イギリスとアイルランドが左側通行、ノルウェーとアイスランドが右側通行だった。もちろん、日本と同じ左側通行の方が運転しやすかった。右側通行の国では、車は左ハンドルになるのが基本だが、いきなり左ハンドルのマニュアル車を運転するのは難易度が高め。
ちなみに、外国では右ハンドルでもウインカーは左側、ワイパーは右側にあり、日本車とは逆になる。その理由は、日本がJIS(日本産業規格)でISO(国際標準化機構)とは異なる規格を採用しているからで、世界的にみると日本の方が例外。こればかりは馴染むしかない。

マニュアル車かオートマ車か

これは運転にあたり、かなり重要なポイント。日本なら、車はオートマチックなのが当然という風潮だが、ヨーロッパは大きく違っていてまだマニュアル車の割合も多い。レンタカーは圧倒的にマニュアル車が多く、オートマ車を選ぼうとすると、たいていは車のグレードが上がるとともに、オプション料金もかかって高くつく。

ラウンドアバウトへの進入と退出

ラウンドアバウト(環状交差点)は、日本でも少しずつ登場してきているが、まだなじみが薄い。それに対して、ヨーロッパをはじめ多くの外国ではラウンドアバウトの存在が一般的。右側通行の国では反時計回りに入らなければならないので、最初は戸惑う。ウインカーの出し方は、進入時には日本のラウンドアバウトと違って、右左折のときはそれぞれの方向を出し、正面から出るときは出さない。そして出口を出る前には、いずれも左または右のウインカーを出す。
12本の道とつながっているフランス・パリのシャルル・ド・ゴール広場のラウンドアバウトを眺めていると、自分の運転では輪の中に入っていける気がしなかった。

交差点での右左折のルール

イギリスでは、右折するときには、前方からやってくる右折車とすれ違ってから右に曲がる。日本ではすれ違う前に曲がるので、違和感が大きかった。左側通行のタイでは基本的に赤信号でも左折可らしく、同じように、右側通行の韓国やアメリカでは、赤信号でも右折できる交差点が多い。

ヘッドライトの扱い

ノルウェーやアイスランドでは、車に昼間のヘッドライト(前照灯)点灯が義務づけされているようで、走行中はライトが消せない仕様になっていた。日本でのバイクの扱いと似ている。また、EU圏内では、最近の車にはデイタイム・ランニング・ライト(デイライト)が標準装備されているらしく、日本のように昼間は完全に消灯している車は少なかったように思う。
そして、対向車のライトがまぶしいと感じることが日本と比べて多く、ヨーロッパの運転者の方が日本より遠慮なくハイビームを使っているように思った。まぶしいのが苦手な人は注意が必要。

国別のルートとちょっとした感想

この先しばらくは、国別で振り返りたい。

ノルウェー

8月24~26日(3日間) 249キロ(1日平均83キロ)

ネットでハーツ(Hertz)のレンタカーを予約したときにはマニュアル車が配車される予定だったが、実際に借りるとオートマ車のトヨタ・ヤリスでうれしい誤算だった。
地図でみると、レンタカーで回ったのはノルウェーのほんの一部、3日間で約250キロと短い走行距離にすぎない。しかし、ラウンドアバウトが多い道路を左ハンドルの車で運転して、フェリーに2回乗ったり、日本と比べて高額な駐車場料金やガソリン代を支払って相場観をつかんだりと、まあまあ経験を積んだ。

アイスランド

9月26日~10月1日(6日間) 2,079キロ(1日平均347キロ)

レンタカー会社がらみのトラブルが発生したアイスランド。こと借りたレンタカーに限っていえば、走行中、ずっと異音を発していて大声でないと会話できないくらいで、実に不快だった。それがこの車種のフィアット・パンダによるものなのか、車の状態によるものだったのかは分からない。こんな車でとにかく走り回り、アイスランド1周を果たした。
初日はこの車のマニュアルトランスミッションのクセが分からずにエンストしまくりつつ、コツをつかんでからはスムーズに運転できるようになった。片道1車線の田舎道が基本で、走りやすかったことも幸いした。

アイスランドは幹線道路を一歩外れると未舗装のダート道が多く、車に傷がつくことも十分ありうる。そのため、レンタカーを借りる際にはきちんと保険をつけておくことが大切。

ちなみに、アイスランドでのレンタカー会社はグリーン・モーション(Green Motion)という日本では聞きなじみのない会社だった。それでもホームページを見ると、ヨーロッパを中心に多くの国(2021年9月現在は47か国)で展開している多国籍企業のようで、まあ大丈夫かな、と思っていたら、「安かろう、悪かろう」の貧乏くじを引いた。僕は2度とこの会社を使わないと誓った。

アイルランド

10月2~6日(5日間) 1,420キロ(1日平均284キロ)

アイルランドはアイスランドに次ぐほど走り回った感がある。ペイレス(Payless)で借りた車、セアト・イビサはセダンタイプで、走行音も静かで走りやすかった。

このころになると、ゆっきー持参のオーディオブックを車内で聴きながら移動するようになっていて、イギリスゆかりのシャーロック・ホームズのシリーズや筒井康隆の「時をかける少女」「文学部唯野教授」などを聴いたが、そのなかでも特に面白いと思ったのが同じ筒井の「わたしのグランパ」だった。しかし、最終巻だけがなぜかなく、結末が分からずにモヤモヤを抱えることになった。

イギリス

10月7~12日(6日間) 1,365キロ(1日平均228キロ)

イギリスでも結構、車を走らせたように思っていたが、アイルランドよりレンタル期間は1日長かったのに、総走行距離は下回った。
バジェット(Budget)で借りた車、フィアット500(チンクエチェント)はフィアット・パンダとサイズ感は同じだったが、乗り心地は500の方が圧倒的によかった。アイルランドと同じく左側通行なので楽だったが、メーターや標識の距離・速度はイギリス国内で標準のマイル表示(1マイル=約1.6キロ)になっていて、それをキロに換算するのがいちいち面倒だった。

レンタカー旅で考えられるトラブル

チームシマにとって幸いだったのは、レンタカーの故障や盗難などが1度もなかったこと。事故、違反もなかった。上にも書いたが、返却時の車の状態をめぐるトラブルはよくある話なので、保険をかけておくとともに、保険の適用範囲はどこまでか、面倒でもきちんと確認しておこう。

一方で、列車やバス等で長距離移動していると、故障に遭うことがあり、これまでの旅でも列車ではドイツ、バスではウクライナでトラブルに巻き込まれていた。
というわけで、トラブルに遭う可能性は移動手段に限らずあるということで、心の準備は万全に。

以上、レンタカー旅の振り返りでした。いつか何かの役に立つことがあれば。